珍道中記2007.10.06-09

naniyoriasane2007-10-10

いっこうに減らない積ん読の山から今回の旅のお供に選んだのは、クラフト・エヴィング商會の一冊。
クラフト・エヴィング商會」。以前から気になる存在ではあったのだが、おしゃれカフェ的な一種独特の鼻につく感じがしそうという偏見でもって遠巻きにしていたことを後悔した。一言で表すと、日常にひそむ粋のきらめきをすくい上げている佳品。
ところどころに写真が挟まれていて、フォントも凝っているので単行本で見た方がより魅力を感じられるかも知れない。
特別、吟味しないで道連れにした本だけれど、舞台が東京の住宅街(豪徳寺等)で、こぢんまりした森があったり川が流れていたりで自分が訪れた街とシンクロしていたのが、とてもいい体験だった。豪徳寺は世田谷だから東京の人に言わせると全然違う街なんでしょうけどね。
井の頭公園の池の畔でページを繰った数分間が、しみじみよかったなあ。
何となく降りた吉祥寺の駅前(ユザワヤ!)の雑多さに、気分を変えたくて向かった公園だったけど、タイムリーなことに「黄色い涙」の舞台なのね。指摘されてビックリ!DVD観てから上京したんだけどな。まぬけな私は圭君の残像を見ることもなく、池をバックに写真を撮り合う韓国人の女の子3人組の邪魔をしながら(よけたつもりが邪魔だったらしい)携帯で写真を撮ったり、バラバラ殺人解決してないよね〜なんて話をしていた。とはいえ中央線の景色を見ながら考えるのは、わたし今キャプテンと同じ景色を見てる!って事で、学生時代に三鷹に住んでいた隣に座るIの思い出話なんて聞いちゃいねー。東京ドームシティの黄色い涙展の広告も見た。
駅前の汚さは許容範囲だしビルの低さも馴染むし、吉祥寺は住みやすそうな街だわね。
よそ様の庭から伸びる枝の先にたわわになるまだ青いリンゴを見上げたり、おこわ米八の本店を公園入口脇に認めたりして腹が減ったので、六本木のミッドタウンへ。完全おのぼりさん。
冷やかしだし、前夜(6日25:00〜7日5:30)の稲川淳二ナイト(Iの趣味ですから念のため)で相当消耗したので滞在したのは10分やそこらだけど、ホテルに持ち帰ったおにぎり(特に唐揚げ)とパンがおいしくて満足。一つ心残りなのはトシ・ヨロイヅカ。なんでケーキ屋にあんなに並ぶの?チョコケーキが喰いたかった!
6日は横浜で時間をつぶしてから、稲川ナイトの会場がある川崎のクラブチッタへ。チッタどころか川崎に行くのが初めて。駅前の王将は山岡家と同じ匂いがして、街の印象は良くないけど、淳二は面白かった。何がいいってステージと客席の一体感が半端じゃない。どうやらクラブチッタは淳二のホームらしく、登場からおかえり〜&ただいま!じゅんちゃーんと手を振る客もいれば、指笛あり、よっと威勢のよい声がかかったり。合間、合間のかけ声が熟練の域に達しているのか、聞いていてとても気持がいい。歌舞伎の大向こうみたい。還暦の話題が出ると、すかさず「おめでとう!」話にかぶったりせず、呼吸が抜群。怪談も面白かった(あれは既に落語。一種の話芸です)けど、あの空間自体が貴重だった。
嵐のコンサートもドームが狭く感じられる程に一体感があったといえ、かけ声はいま一つ。これはお客の問題だから、精進したいものです。でも考えたらドームが狭いって奇跡的よね。
川崎→東京の移動に「大宮行き」の電車を使ったような気がする。わたし今、大宮行きの電車に乗ってる!と心の中で叫んだ記憶あり。
そんなわけで7日は半日寝ていた。Iの好みで日本橋のちょっと高級な所に泊まったので、部屋を満喫できてよかったんではないか。ラウンジでオーノトモダチとお茶できたし(!)。その折は、ご足労いただきありがとうございました。夜は銀座に出てナイルレストランのカレーを食べた。中国人にも言えるけど、インド人は何処にいたってインド人なのね。銀座なのにラオスインドカレー屋だと言われても納得しそう。うまかった。せっかく銀座なので、銀座ライオン本店にも行った。元祖ビアホール!ブックファーストにも寄ったが場所柄か狭い。ケータイ小説が少ないのは銀座だから?札幌でもまともな本屋(笑)は扱ってなかったりするから、あるだけで驚きなのかも。
翌8日はコンサートの為、これまたアラシトモダチとジュンク堂池袋本店で待ち合わせ。数時間後に本番を控えているにも関わらずって出るの自分のように言うけど、完全に本屋モードになってしまって、早く帰って棚に触りたくて仕方ない。9Fから順に見て、思ったより狭くてちょうどいい規模だと思った。棚に多少の差はあれど、さすがいい店です。
〈書店員メモ〉

  • 清風堂書店の専用ラック:これがあれば返本せずに済むのに
  • 桐原書店の英語の本:売れそう。うちも積むか?
  • 専門書の面陳:専門書担当でも元は文学畑なのが顕著。こういうことしたい
  • ○○書店:佐藤優書店開催中。著者POPが付いている本が明らかに売れている。この人ネコ好きなのね
  • 壁のパネル:販促物なのか最新刊の絵本(写真)の写真を使ったパネル展が早くも
  • ケータイ小説:ここも少ない。最新刊くらいしか置いてない様子。しかも分類がサブカル

旅先なので買うのは控えて、目当ての田口久美子サイン本(ちくま文庫「書店風雲録」)と生き物手ぬぐいを購入。欲しくなるので、なるべく本に触らないようにしていたんだけど、人文書の階でうっかり立ち読みしてしまって(世界思想ゼミナール「ひきこもりの社会学」)これだけ読んだら買わないと申し訳ないとカゴに入れたが最後、歯止めが利かなくなり文庫・新書・文芸書の3階で腕が痺れそうになったので、我に返って本を戻しにエスカレーターを上り下り。尾崎翠の研究書欲しかったな〜田口久美子が今年の№1と書いていた本は国書刊行会だからウチだと取り寄せだぞ〜いまだ近代の超克か〜美術手帖のバックナンバーetcetc..
そうこうする内にトモダチからの到着メールを受けたので1Fレジへ。文庫カバーいらないって言ったのに掛けてくれた。反対にいると言った袋はもらえず。要求したけど。シンパシー覚えてちょっと笑っちゃった。私も普段、カバー必要か自分で聞いておいて、すぐにどっちだったか忘れてしまうの。失礼よね。棚は3Fの途中までしか見られてないけど、カリスマ中のカリスマ書店員、田口久美子が働いている姿を確認したぞ。イタリア文学の棚の前で補充しにきた彼女が私のカゴの中(サイン本)に目をやったような気がする・・だから何なんだって話です。私も書店員なんです!と言ってみたところでどうなるものでもないし黙っていたけど、なんとなく目で追ってしまった。不快だったかしら。
外は土砂降りの雨。待ち合わせに成功して、チェックインのため今夜の宿泊先がある御茶の水へ向かう。昨日と打って変わって、普通のビジネスホテル。ただ街の雰囲気はよかった。大学や神社があるせいでしょうね。聖橋がステキ〜Rさん、大女に相合傘してくれてどうもありがとうございました。
御茶の水から後楽園へ。ドームだよドーム。東京ドームなんて初めてだ。思えば今度の旅行は初めての場所ばかり。東京は広いね。
ドーム周辺でもたくさんのアラシトモダチとお会いできて本当に楽しかったです。みなさんありがとうございました!
コンサート終了後も盛り上がったなあ。あまりに盛り上がって、一次会のお店に携帯電話を忘れるという失態を犯しました。こういう間の悪い人間なんです。よりによって初対面の方達ばかりの場で出てしまった。恥ずかしい〜
翌昼頃、池袋のお店に行ってみたけど、やっぱり開いてなかった。しょうがないから東口にあるタカセというパン屋であんぱんを買い、携帯がなくて時間がわからないので西武で腕時計を買いして、一路空港へ。北の大地へ帰り着きましたとさ。