伊坂

ゴーーールデンウィーークに働くのもいいもので、入荷がないと休憩時間に細かい仕事を持ち込まなくて済むんです。お昼休みに本が読めるしあわせ。この本は短編連作集なので休憩時間にぴったり。それにしてもこの作家は銀行強盗が好きですね。
伊坂幸太郎もうまいよ。安定して面白い。ミステリーとしてもうまいし、表題作で家裁に通う少年のように、伊坂で人生学ぶこともできる。『イン』にある「乾燥した果物の手触りのような、嗄れた声」なんていう味わい深い表現も見られて、なかなか読ませる、のだが、いかんせん軽いんだよな。軽いのは悪い事じゃないし、狙った軽さでもあるんだけど、その辺がちょっと私には合わないんだと思う。解説者言うところのガジェットがいささか気障でときおり鼻につく。洒脱は、自分の目指すところでもあるのにね。所詮、人間が暑苦しくできているのだろう。これはでも、昔、妹に、気が強くなかったら*1死んでるね!と言われたから仕方ないかな。
何が言いたいかというと、魔王は伊坂の魔王じゃないんですね。

*1:暑苦しくなかったら と置換可能