決定!

2008年本屋大賞が決まりました。三度目ならぬ五度目の正直、伊坂幸太郎だ!
http://www.hontai.jp/
「売り場からベストセラーをつくる」を合い言葉として2004年にはじまった本屋大賞。実際参加するのは去年から、まだ2度目のなんちゃって書店員の実感としましては、今年は5年目と区切りがよいのに加え、もともと内輪人気の高かった伊坂幸太郎がやっと大賞を受賞したことで、この賞の今後を占う大きな転機の年になると思います。読み手としても売り手としても本格的に力量を問われるのはこれからだぞ、と身を引き締めていく所存。
追記)上記リンク先の本屋大賞ホームページ「過去の本屋大賞」を見てもらえればよくわかるんですが、伊坂幸太郎は第1回からノミネートされ続けていて2004年、2006年と2タイトルがランクインしている年もあるくらい本屋イチオシの作家なんです。だからきっとみんなどうしても大賞をあげたかった。本当は前年の直木賞候補作「重力ピエロ」で受賞していればよかったんだけど、第1回の大賞は「博士の愛した数式」だから、これはもう仕方ない。第2回はやっぱり「夜のピクニック」だし。思えば本屋大賞は幸先のよいスタートでした。どちらも映画化されて大成功。第3回はモンスターヒット「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。ドラマ化、映画化なんでもござれ。いまだに売れます。本屋泣かせの白一色の表紙が憎い。ちなみにリリー・フランキーは本屋さんにもっと本を大切に扱ってほしいという理由で汚れの目立つ白い表紙にしたとか。このエピソードでちょっとリリーが嫌いになったわたし。そして第4回の去年は「一瞬の風になれ」だもの。過去の受賞作を考えると、大賞受賞に5年かかったのはどうしようもなかったんだわ。ただこの5年で伊坂幸太郎の作品は、バンバン映画化されコミック化されして既に押しも押されもせぬ人気作家なわけで「売り場からベストセラーをつくる」本屋大賞の目的からはちょっと外れるのかな〜と。そんな事言ったら、小川洋子は「博士の愛した数式」の時には既に安定した人気を保っていたし、恩田陸は「夜のピクニック」の前にデビュー作「六番目の小夜子」のテレビドラマ化、「木曜組曲」の映画化と充分人気作家ではありました。しかし、あらためて本屋大賞という看板をつけることで、本を読みたくても何を読んだらいいかわからない層にアピールして結果ベストセラーになったのだから、目的完遂バンバンザイ。それに比べると、現在の伊坂幸太郎は、ちょうど『死神の精度』公開中。来春には『重力ピエロ』の映画化も控え、本屋大賞なんて看板いらないくらいの大活躍なんであって、今回の大賞を世間のニーズと賞の合致と見て喜んでいる場合じゃないのだよ!などと、いち書店員としては思うわけであります。追記ながっ